こんにちは、マーボーです。
今回は、理学療法士の臨床実習をテーマに「統合と解釈の考え方」について解説していきます。
理学療法士を目指す学生の通過点として「臨床実習」がありますよね。
その臨床実習の過程で「ケースレポート」があるんですが、そのケースレポート結構難しいんですよね。
- 書き方が分からない
こう言う問題が出てきます。
特に書き方が分からない原因に、臨床実習ケースレポートの「統合と解釈」が挙げられます。
参考
僕が理学療法士として、実習生に指導していた時も「統合と解釈」が苦手と感じている、実習生が多い印象でした。
この記事を読んでいるあなたは凄くラッキーです。
ケースレポートでの「統合と解釈」の考え方が分かるようになります。
こんな方におすすめ
- 理学療法士を目指す学生のあなた
- 統合と解釈がよく分かっていないあなた
- 統合と解釈で迷子になっているあなた
記事の内容
- 評価実習の内容
- 統合と解釈とは
- 統合と解釈の書き方
理学療法臨床実習【評価実習の内容】
臨床実習ケースレポートが中心になってくるのが「理学療法 評価実習」からです。
1年生・2年生での実習は、ケースレポートに関してそこまで、重要ではなく患者さんや専門職とのコミュニケーションの中心の実習でした。
評価実習は、理学療法士養成校ので3年生の過程に設けてある、カリキュラムの一つです。
この評価実習の期間は3週間です。この3週間で、患者さんを治療する前の過程、治療プログラムの立案を行います。
なんだか不安と思っているあなた、難しく考える必要は全くありません。見学実習、検査測定実習をクリアして来たのなら大丈夫です。
【評価実習の主な課題】
課題
- 日々の記録
- ケースレポート
この評価実習は簡単に言えば応用です。
実際に患者さんに対して、検査・測定してそこで得られた情報から、治療計画を組み立てるまでを行います。
評価実習に関しても緊張する必要もないし、気負いする必要もございません。あなたなら出来ます。
評価実習での、日々の記録
記録は1日1日何をしたのか、患者さんの1日の様子を知る為に必要なので、記録を書かせている実習施設も多いです。
実習記録に関しては養成校側からの推奨なので書かないといけませんよね。
また、実習記録は1日のタイムスケジュールを自分で立てて、そのスケジュールを基に行動する為にも必要になってきます。
患者さんと関わる時間は限られているので、時間を有効に使う為にも、日々の記録をしっかり取るようにしましょう。
どの時間が有効に検査・測定などの情報収集できるかを知ることができます。
- 患者さんの日々の様子、変化を知ることができる。
- タイムスケジュールによる検査・測定の円滑化が図れる。
- 実習指導者とのコミュニケーションツールにもなる。
実習記録を基に、フィードバックを行うことも可能なので、実習での不明な点、質問事項を何でいいので、書く事をオススメします。
評価実習での、ケースレポート
最近では、各臨床実習で「ケースレポート」のない実習施設が増えてきましたが、今回は、ケースレポーがあると仮定して考えていきます。
ケースレポートは、実習生の考え方を知る判断材料になりますが、作成は正直大変です。
臨床実習時の不眠の原因になりますよね。
ケースレポートのメリット
- 治療までの流れが分かる
- レポート作成が臨床に出た時に活きる(資料作成等)
ケースレポートのデメリット
- 時間が掛かる
- 寝れない
- 作業になりがち
ケースレポートは訂正が重なり、なかなか終わらないです。
臨床実習のケースレポートで、苦労するのが統合と解釈だと思います。
次項で、ケースレポートの書き方を踏まえて解説していきます。
臨床実習ケースレポートの書き方
3年時の評価実習の課題でもある、ケースレポートは「アセスメント」に加えて、
- 統合と解釈
- 問題点の抽出
- ゴール設定
- 治療プログラムの立案
上記項目を考えていく必要があります。一人の患者さんを治療する過程をケースレポートを通して学んでいきます。
統合と解釈については事項で説明しますね。
問題点の抽出
OAの患者さんで歩行障害が出たと過程しましょう。
統合と解釈の部分でも同じように出てきますが、
OAの患者さんです。歩行障害がでました。歩けません。
(何で歩行障害が出たのか、歩けなくなったのか)⇦この部分を考える
歩行時の疼痛、膝折れ
(何で疼痛が出るの、膝折れするのか)⇦この部分を考える
関節の変形(レントゲン所見)四頭筋の筋力低下
(何で変形してるのか、筋力低下してるのか)⇦この部分を考える
OAが原因で膝関節が変形している。
OAが原因で運動習慣の低下に伴う筋力低下が起きている。
【この部分を考える】を症例の問題点として♯で考えていきましょう。
ICFかICIDHの考えに落とし込む作業です。
ゴール設定
ゴールを設定するにあたって重要なことは3つです。
ポイント
- ショートゴール
- ロングゴール
- 期間
この3つを決めることです。
ショートゴールの期間をいつまでにするのか、ロングゴールの期間をいつまでにするのか考えましょう。
ショートゴール(2週間):筋力向上
ロングゴール(1ヶ月):歩行能力獲得
極端に上記のようにゴールを設定しました。
設定方法は、高齢者だとしましょう(80歳代くらい)。そしたらこうなります。
文章で書くとすれば、
参考
本症例は高齢であり、体力面の低下も考えられるため、積極的な運動を控えた上でゴール設定を行った。
ショートゴールに関しては、参考文献にて運動を開始して、筋力の向上が70〜80歳代で2週間程度かかることから今回このようなゴール設定を行った。
ロングゴールは本症例は高齢であるため、積極的な運動を控え、体力面の低下を考慮した上で1ヶ月と設定した。
このような感じでゴール設定を考えていきましょう。
治療プログラム
治療プログラムは先程出した患者さん及び利用者さんの問題点を中心に考えていきましょう。
どのような問題点に沿った治療を展開していくのか、筋力低下があれば筋力向上運動、可動域制限があればROMを実施するなどあるんですよ。
考え方は凄く簡単です。難しく考える必要はゼロですよ。
ただ治療プログラムに関して注意しないといけないことは、【関係の無い治療はしない】これだけです。
どう言うことかといと、
全く関係のない骨折の整形疾患の患者さん、感覚異常もない患者さんに対して利き手交換をするかって話です。
しないでしょ。さすがに!
まずはしっかり評価をしましょう。そして、あなたが出した問題点に沿って治療プログラムを立案してみて下さい。
ポイント
筋力低下:筋力向上運動(キッキング、SLS運動、セラバンド使用した運動等)
可動域制限:ROM運動(IDストレッチ等)
歩行障害:(歩行練習)
(歩行障害に利き手交換をする必要はないですよ)
上記のように簡単に治療プログラムを立案していきましょう。
臨床実習ケースレポート【統合と解釈】
ケースレポートで一番苦手な部分が、「統合と解釈」ですよね。
- 統合と解釈の考え方
- 統合と解釈の書き方
統合と解釈の考え方
統合と解釈とは、カルテなどからの情報収集含め、検査、測定の結果と動作観察で得た情報、所見を結びつける工程です。
あなた含め、結構難しく考えたり、書こうとしたりする実習生がいますが、迷宮入りして何を伝えたいのわからなくなったりします。
大事なことは、いかに自分が得た情報をシンプルにするかです。
- 年齢
- 既往歴
- 家庭環境
- 入院前の様子
- 入院前の生活様式
- 検査測定の結果内容
- 動作観察及び動作分析
- 入院中のADL動作の状況
得た情報を統合していく過程です。簡単に紐づけしてシンプル化していきます。
そこでシンプル化した情報をneed、hopeに落とし込むかが大事になってきます。
ポイントは「なんで?」という疑問をもつこです。
【歩行】をテーマに考えていきましょう。
歩行動作に関して観察、分析しました。入院前は独歩可能であったが、現在入院中は独歩できません。
ポイントは「なんで独歩ができないのか」
OAの患者さんです。歩行障害がでました。歩けません。
(何で歩行障害が出たのか、歩けなくなったのか)⇦この部分を考える
歩行時の疼痛、膝折れ
(何で疼痛が出るの、膝折れするのか)⇦この部分を考える
関節の変形(レントゲン所見)四頭筋の筋力低下
(何で変形してるのか、筋力低下してるのか)⇦この部分を考える
OAが原因
「何で」を繰り返したら、疾患に辿りつきます。最終的にこの疾患(OA)に辿り着ければ問題ありません。
今度はこれを、ICFかICIDHに落とし込みます。落とし込む作業は先ほど、問題点の抽出でもしましたね。作業は簡単です。
ICFであれば【心身機能、身体構造、活動、参加、環境因子、個人因子】それぞれに当てはめて考えてみて下さい。ICFはネガティブ面に加えポジティブ面も考えることができれば最高ですね。
非常にシンプルに考えていいと思います。なぜ、このように自分が問題点を抽出したのか、ゴール設定を行ったのか文章でシンプル伝えましょう。
次の統合と解釈の書き方でまた紹介していきます。
統合と解釈の書き方
何を解決できたらゴールは達成されるのか、ゴールはどこか軸はしっかりしときましょう。
「歩きたい」とhope(希望)があればそれに向けて自分が出したICFかICIDHの考えを展開します。
書き方ですが、冒頭はやはり症例紹介です。どういう患者さんなのか、入院前はどうだったのか、現在の状態はどうなのか、しっかりと紹介しましょう。
カルテからの情報収集や本人さんからの情報収集がキモになります。
参考
本症例は80歳代女性。2ヶ月前より右膝の疼痛が出現し通院を繰り返していたが疼痛軽減見られず経過される。入院前は独歩にて歩行可能であったが、疼痛の増強につれ現在、歩行不能。
めちゃ簡単に上記のように症例紹介を書きました。あなたならもっと詳しく書けるはずです。
次はその患者さんまたは利用者さんの問題はどこか、検査結果と照合しながら評価していきます。
【歩行動作の問題になっているのは何なのか、立位ができない原因はどこにあるのか検査結果と照合します】
参考
本症例の歩行障害の原因として、下肢筋力低下、疼痛が考えられる。
本症例は筋力検査の結果、下肢MMT2であり疼痛検査(フェイススケール)にて10であり現在も疼痛持続中な為、歩行障害に繋がったと考える。
できない原因を探っていきます。
「疼痛が原因ではないか?」「筋力低下が原因ではないか?」など考えていきましょう。そこで、何で疼痛が出現したのか、何で筋力低下が起きたのかも考えましょう。
この動作はできないけど、この動作ならできる等を考えていきます。できる動作を踏まえて統合と解釈を考えていきましょう。
ポジティブ面を考慮してゴール設定を行うことができれば大丈夫です。
マーボーのまとめ
3年時の評価実習からケースレポートを書かせる実習先が多いです。
指導者としての考え方も様々で、ケースレポートの正解・不正解はありません。
ケースレポートの中身でもある「統合と解釈」にしても考え方は様々で、これが正しいという意見もないです。
ケースレポートの中身に限らず、実習生は自信を持って発言したり、述べたりしていきましょう。
折角の臨床実習、現場で学ぶことは沢山あります。レポート実習にならない様に、ケースレポートは程々にしましょう。
ケースレポートで詰まったら「寝る」ことをオススメします。しっかり寝て体調を崩さない様にしましょう。
あなたが立派な理学療法士になれることを応援しています。頑張って下さい。
最後に今後の勉強、実習で役立つ参考書をまとめているので、学習の参考にして下さい。